2013年06月21日

エイトトラックとカセットテープ

昭和の時代は『アナログ』の時代でした。そして現代は全てがデジタル全盛、ですからやけにアナログ、或いはアナログ的なものへの懐かしさや、回帰意識が強くなってきているように感じます。
【エイトトラック】と聞いて、何を想像しますか?たぶんこの言葉で完璧に製品を思い出すことができて、かつ利用シーンを的確に説明できる人は、きっと昭和30年代の初めの頃に生まれた人だと思います。
クイズではありませんが、キーワードは自家用車やバスと喫茶店や夜のひと時を過ごすお店です。そして、そこかしこに所狭しと積み上げられたり、整理されて置いてあったのが、この写真です。
8tracktz.jpg
正確な数字は覚えていませんが、少しくすんだ黄土色、約12cmx10cmの長四角型で、厚さは2cm位のプラスチックの箱です。短い方の側面には、テープが出ていて、箱の中にぐるぐると入っていて、アナウンスや音楽が記録されていました。そして、8種類、つまり音楽ですと8曲聴けるものでした。バスのアナウンスにも使われていて、終点や折り返し運転の場所で、運転手が上の棚の方にある再生装置で、この大きなカセットを取り換えていた光景が思い出されます。
8trackpz.jpgCassetteTape.jpgc="http://showa-life.up.seesaa.net/image/8trackpz-thumbnail2.jpg" width="290" height="159">
そうです、それこそ今ではすっかり衰退してしまったカセットテープが普及するまでの間、庶民にも、業務でも使われていた製品でした。大学生になって同乗した友人の車にこの装置があって、お気に入りの音楽を聴きながらドライブしたものでした。しかし、夏の暑い時期、当時の自家用車にはまだまだクーラーなる「便利な装置」がついておらず、見栄をはって窓を閉めっぱなしで走った記憶もあって、その暑さでこのカセットのテープがノビノビになってしまって、折角の曲が台無しになった記憶も、今でも鮮明に脳裏に焼き付いています。
このエイトトラックは、専用の録音装置が必要だったはずで、自身が持っているレコード(シングル盤)から移したり、アルバム(十数曲入った大きいレコード:LPレコードと呼ばれてました)から編集したりがなかなか出来なかった思い出もありました。
ですから、いわゆるカセットテープと再生、録音できる「デッキ」が手に入った時はとてもうれしく、かつ自分の車にも再生装置を付けた時は、それこそ有頂天になりました。テープの種類も徐々に増えていって、当初は60分テープが主流でしたが、90分、120分、そして45分、43分と楽曲がちょうど収まる長さのラインアップが充実していきました。sony_old.JPG更に、音楽専用の高級テープも出始めて、素人で聞き分けられるとは到底思えませんでしたが、TDKのSAタイプがお気に入りでした。アルバイトをして、奮発して買った思い出がありました。TDK Cassette SA_b.jpg
最初は友人から借りたレコードから、カセットテープに気に入った曲を録音して、自分なりに順番を変えながら自分のテープを作りました。そして、贅沢にも自家用車で大学へ通うとき、合宿などで遠くへ出かける時は、それらお気に入りのテープを何本も(何個とは言っていませんでした)持ち出して、同乗する後輩たちに自慢げに披露したことも何度もありました。そして、レコードからのコピーに飽き足らない時は、FM放送で流れる「今週のヒット」などをこまめに録音しては楽しみました。まだ、録音時間を設定して、不在のときでも録音できる機能はありませんでしたから、番組の放送時間にはかならず帰宅して、或いは外出を送らせては楽しんだものです。時には放送そのものを全部120分テープに収め、番組途中のCMも、正時の時報まで入れて、合宿へ出かける時にかけていた時などは、後部座席の後輩が時間を勘違いする珍事もあったのを思い出します。
当時ラジオ放送をテープへ収めるの事を『エアチェック』という、日本語英語で呼んでいたことも覚えています。FM放送の予定や、解説と寸評が掲載された専門雑誌でも、この言葉が使われていて、友達同士の会話でも、「今度この番組 エアチェックだな」などと使っていました。
このカセットテープも、自動車の中で頻繁に使っていると熱の影響や、耐久を超えると伸びてしまうか、切れることもあって、テープを引き出して専用の接着テープで貼り付けるツールで繋げ直して楽しんだものでした。この接着テープは、起源は映画用のフィルムや8mmフィルムで利用されていたものの様で、カセットテープより大きい『オープンリール』のテープ用に工夫され、そしてカセットテープにも応用されたのだと記憶しています。レコード店や音響製品を取り扱うお店でも売られるようになって、私たちがよく使っては、折角のお気に入りを台無しにしないようにしたものでした。この意識は、現代で云う「エコ」でも、「リサイクル」でもない、ごく自然発生的なものでした。ましてや、「もったいない」の感覚はあまりなかったとおもいます。
そして、気が付いてみると、自分が所有するレコードも、保存状態をキープするため、普段はコピーしておいたカセットテープで楽しんだもので、自作の編集版とエアチェックのテープ含めて500本近くに膨れ上がり、タイトル、収納曲はカセット付属の台紙やラベルに記載していましたが、いちいちそれらを見なければ見つけることが大変になり、通し番号を当時発売されたばかりの五ミリ幅の塩ビ製のテープに刻印しては、貼り付けて、文房具店で買い求めた小さめのカードに曲名、作者、演奏者などを記録して整理も始めたのでした。これらのカセットテープは、今でもすれることができない、まさに博物館入りの時代を反映した代物となっています。
そういえばもう一つ、音楽再生には、《裏返す》、或いは裏面(B面)があたりまえでした。今のように、CD、DVD、更にはiPodで聴くときにはまったく使わない言葉になってしまいました。tdk_old.JPGカセットテープは、A面、B面という呼び方で、左に巻いてあるテープが右側へ巻き取られることで、30分間(60分テープの場合)再生・録音できて、そして裏返してセットしなおせばB面に同じ量の内容が入る仕組みでした。当初は、いちいちレコード同じように裏返しては聞いていましたし、30分を超える局や放送内容を録音しようとすると、この行為が大変だった思い出がよみがえります。しかし、少し時代が進むと、カセットテープの内容を読み込んだり、記録できるヘッドと呼ばれる部品と、巻き取る装置に工夫がなされて、終わると瞬時に回転が反転して、自動でAからB面へ移ってくれるとても便利なデッキや再生装置が出てきました。本当に面倒な作業がなくなったと、異口同音に評価したものでした。Sony_Walkman_WM-2.jpg
そして「ウォークマン」なる物が世の中に出て、ますます、お気に入りのテープを持ち出して、歩いているときでも、電車の中でも聞いたものです。更には、六音可能のウォークマンは、違った場面でも活躍し始めて、内緒でコンサートを撮ったりもしたのを覚えています。今でこそ、スマホやiPad、時にはiPod持ち出すことは当たり前ですが、昭和50年中盤でこれをやっていたのは、今を遡ること三十数年前、なんと時代の最先端を走っていたのかと、自分でも驚く限りですね。
posted by seepapa at 11:14| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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